目次
①時代と舞台
時代は特定されていません。京都・嵐山(あらしやま)の法輪寺(ほうりんじ)へ十三参り(じゅうさんまいり)に出かけた、母おきぬと十三歳の息子・新吉(しんきち)の物語です。
②歴史の手がかり
- 十三参り 数え年十三歳の子どもが、知恵と福徳を授かるよう虚空蔵菩薩に参る行事です。京都では嵐山の法輪寺(嵯峨の虚空蔵さん)が名高く、今も春には多くの親子が訪れます。
- 渡月橋の言い伝え 参拝の帰り、渡月橋を渡り切るまでに後ろを振り返ると、授かった知恵を返してしまうと言われています。
- 虚空蔵菩薩 広大な知恵と福徳を蔵するとされる菩薩です。記憶力を高める修法の本尊としても信仰されてきました。
- 奉公と暖簾分け 商家に奉公した子どもは、丁稚から手代、番頭へと進み、主人に認められれば自分の店を持つ(暖簾分け)こともできました。
③あらすじ
借り物の着物、借り物の帯、古物屋で買った草履。
父のいない新吉は、母と二人で嵐山の法輪寺へ十三参りに行く。
「橋を渡り切るまで、振り返ったらあかんえ」。
帰りの渡月橋の半ばで、後ろから男の声が新吉の名を呼ぶ。
一度、二度。
振り返ろうとした瞬間、母の手が少年の頬を打った。

