大丈夫です

目次

①時代と舞台

現代の都会。頼まれごとを断れず、何を言われても「大丈夫です」と答えてしまう若い会社員・悠太(ゆうた)の、金曜日の夜から始まる数日を描く物語です。

②歴史の手がかり

  • 「大丈夫」ということば もとは中国の言葉で、一人前の立派な男子を指しました。日本では「しっかりしていて危なげない」という意味で使われるようになり、近年は「結構です」「要りません」と遠慮や断りを伝えるときにも使われます。
  • 働き方改革と長時間労働 日本では長時間労働が長く問題とされ、2019年からは、残業時間に罰則つきの上限が設けられました(中小企業は2020年から)。それでも、頼まれた仕事を断りにくい職場の空気は、なかなか変わらないとも言われます。
  • 返事の速さ メールやメッセージアプリが仕事でも暮らしでも欠かせなくなり、すぐに返事をすることが礼儀のように受け止められる場面が増えました。
  • 隣人を知らない暮らし 都会の集合住宅では、隣に住む人の名前や顔を知らないまま、何年も暮らすことが珍しくありません。

③あらすじ

金曜日の午後六時四十七分。
先輩から届いた資料の修正依頼に、悠太は一件目のコメントを読む前に「大丈夫です」と返していた。
財布には、三か月ぶりに大学の友人と観るはずだった映画のチケットが一枚。
約束を断り、十時過ぎに会社を出た帰り、アパートの階段でコンビニの袋が裂け、ゆで卵が踊り場へ転がる。
「そっち、ひび入ったよ」。
洗濯かごを抱えて声をかけてきたのは、一年半隣に住みながら、名前も知らなかった女性だった。


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