火の蓮―麻奈文奴

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①時代と舞台

飛鳥時代(あすかじだい)、崇峻天皇(すしゅんてんのう)元年(588年)から数年。日本最初の本格的な寺院・飛鳥寺(あすかでら)の造営現場を舞台に、百済(くだら)から海を渡った瓦職人・麻奈文奴(まなもんぬ)と、飛鳥の若い工人・真手(まて)の物語です。

②歴史の手がかり

  • 飛鳥寺(法興寺) 蘇我馬子が建てた、日本で最初の本格的な仏教寺院です。588年に造営が始まり、596年ごろに完成しました。奈良県明日香村に、本尊の「飛鳥大仏」とともに今も法灯を伝えています。
  • 百済から来た技術者たち 『日本書紀』によると588年、百済から仏舎利とともに、僧・寺工(寺大工)・鑪盤博士(金属工)・瓦博士・画工が送られてきました。瓦博士として、麻奈文奴・陽貴文・㥄貴文・昔麻帝彌の四人の名が記されています。
  • 日本最初の瓦 それまでの日本の建物は、草や板で屋根をふいていました。焼いた土の瓦で屋根をふいたのは飛鳥寺が最初です。土探しから窯づくりまで、すべてが初めての試みでした。
  • 蓮の花の瓦 軒先の丸い瓦(軒丸瓦)には、蓮の花の文様が型押しされました。発掘調査では、飛鳥寺の軒丸瓦に花びらの形が異なるいくつかの系統があることが分かっています。

③あらすじ

百済の工房で十年腕を磨いた瓦博士・麻奈文奴は、師から託された蓮の木型を懐に、日本最初の寺を建てるため海を渡る。
だが飛鳥の土は百済の土とは違い、言葉も通じない。
倭の若者・真手らとともに土を探し、踏み、型に押し、窯に火を入れる。
しかし、見知らぬ土地の風と水は、百済で身体に覚え込ませた技をたやすく裏切っていく。
海を渡ってきた花は、この国で咲くことができるのか。


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